もし偶然バルテュスの作品を辿る番組をみていなかったら
展覧会には行ってなかっただろうなと思う
バルテュスのモデルとなる少女は
どきりとするようなポーズで絵の中におさまっている
そのことからナボコフの小説「ロリータ」のように
小児性愛と評価されることもあったようだけれど
バルテュス自身はそれを否定している
今回のバルテュス展では
彼が子どもの頃に描いた絵から
時系列に展示されていて
それらの絵を観ているうちに
バルテュスが世間で語られていた
少女についての批評より
幾何学的な構図がどんどんと
印象に残っていく
曲げられたひざの三角
椅子から斜めに伸ばされた足の直線
顔の位置
バルテュスの考え抜かれた構図の中に
少女はモチーフとして静かだけれど
印象的に存在している
バルテュスの描きたかった構図
表現したかった色調に一番ふさわしかったのが
女になる前の少女であり
その無防備なエロスだったのかな
という気がしてくる
それは1枚の絵を仕上げるために
何枚も習作を重ねたスケッチが
同時に展示されている
ことからも伝わってきた
時代を超えて残っていく作品には
やはり考え抜かれた「普遍」が存在し
それが私たちを刺激したり
安心させたり
理由などの思考が介在出来ないほどに
魅了されたりするのだろう
入口には
バルテュスのアトリエが再現
画家や作家のアトリエってなんでこんなに魅力的なんだろう
散らかっていたり乱雑でもどこかサマになってついつい観てしまう